日常と好きなものについてモソモソ語っています。腐女子向け(8O1とかBLとか)の絵とネタが多いので苦手な方はご注意下さい。
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サ力ナクションの「グッドバイ」のMVっぽいイメージで描けたらなあ〜と、ハリ一と工グジ一の暗いお話のネーム(文章だけです)を書いてみた。
そしたら想像以上に暗くなってしまった…。
一応たたんでおきますので、暗くてもOKという方、文章力に寛容な方は、「つづきはこちら」ボタンを押してください。
「グッドバイ」
一葉の小舟が川を下っている。
乗っているのは、俺とハリ一と黒いローブをまとった船頭だけだ。
辺りは真っ暗で、ここがどこで、この舟がいったいどこに向かっているのかすらわからない。
薄ぼんやりとしたランタンの光だけが、舟の舳先で揺れていた。
そもそも俺たちはどうしてこんな所にいるんだろう。
バシャン!という大きな水音にハっとして辺りを見回す。
どうやら、ついうとうとしてしまったらしい。
「どのくらい寝てたのかな…」
寒さに腕をさすりながら起きてみると、ハリ一の姿が見えない。
「ハリ一?」
船頭に聞いても頭を振るばかりで答えてはくれない。
背中を嫌な汗が流れる。 俺は周章狼狽して喚き立てた。
「ハリ一! ハリ一!」
ふと、10mほど離れた場所に河岸があるのに気がついた。
さっきまでは暗闇に覆われて何も見えなかったのに。
目をこらすと、はたしてハリ一はそこにいた。
木に背をあずけて、お気に入りの傘を右手に。
警察署の前で会った時と同じ姿勢でこちらを見ていた。
「ハリ一!なんでそんな所に!早くこっちに戻ってこいよ!」
ハリ一は微笑んで、何かを言った。
舟は慌てる俺などお構いなしにどんどん進んでいく。
「舟を止めろ!ハリ一が!ハリ一がまだあそこにいるんだ!」
詰め寄っても船頭は素知らぬ顔で、櫂を漕ぐ手を休めない。
俺は思いつく限りの罵詈雑言を船頭に浴びせると、パーカーを脱ぎ捨てて川に飛び込むために身構えた。
その瞬間、襟首を掴まれ小舟の中に引き戻される。
「離せ!」
揉み合う内に船頭のフードがバサリと脱げた。
現れた彼の素顔は、俺と同じだった。
「…!」
状況が理解できない俺の目の前で、俺と同じ顔をした船頭は空気に溶けるように消えていった。
目の前に残されたのは黒いローブだけだ。
恐る恐る手に取ってみると、それはローブではなくスーツだった。
ハリ一が俺の為に作ってくれたビスポーク・スーツ。
愕然として、俺はその場に立ち尽くした。
ようやく我に返ってのろのろと後ろを振り返る。
ハリ一の姿はもう見えない。
もう届かない。
こらえきれない涙がこぼれて、ピカピカのオックスフォードシューズの上に落ちた。
俺の服は、いつの間にかさっきのスーツに変わっている。
ピークド・ラペル、ダブル・ブレステッド、キングスマン特製の防弾仕様。
小舟の真ん中に座り込んで、俺は子供のように泣いた。
ねえハリ一、さっき何て言ったの?
どうして、あんな優しい顔で笑ったの?
教えてくれよ ねえ
一葉の小舟が川を下っている。
俺だけを乗せた、小さな舟。
小舟は進む。 暗くて先もわからぬこの川を。
おしまい
*「グッドバイ」のMV、川は時の流れで、舟は一人一人の
人生みたいなイメージなのかなと。
別れた人たちは岸辺に残され、舟には戻れない。
そして舟に乗っている方も後には戻れない。
否が応でも前に進むしかない。
大切な人との永遠の別れが来ても、残された方の人生は続いていくわけなので…。
どうやってそれを乗り越えて生きていくかは人それぞれですが、やっぱり
何をどう頑張っても、しんどい時はしんどいと思います。
希望に舵を切る直前の「絶望と無力感」を描きたかったんですけど、難しいですね(汗)
暗すぎてマンガにできるかわからないので、とりあえずメモだけ。
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